病人に「がんばれ」は言わなくていい/「なんで僕に聞くんだろう。(著:幡野広志)」

親しい人が癌や重い病気になったことはありますか?

アラフィフともなれば、そういう経験がある人の方が多そうですよね。ご両親だったり、兄弟、親戚、友人…。人間関係が多ければ多いほど、親しい人が癌になった経験があるでしょう。なんせ、2人に1人は癌になるそうですから。

で、わたしは49歳になって初めてそれを経験しています。わたしには会社の中に5~6人親しい同僚がいるのですが、その中でも一番心を許していて、お互いに「親友」と呼べるような人が癌になったんです。おかげでずっとオロオロしています。

たまに二人で食事に行ったり、二人で飲みに行ったり。時間の都合さえつけば、当たり前にできていたのに、急にそれができなくなるなんて。

 

同僚は現在も入院して抗がん剤治療中。LINEで1~2週間に一度連絡を取りますが、体調に関してはいつも芳しい答えは返ってきません。手術を乗り切ったら、次は抗がん剤・放射線治療の強い副作用が始まり、それはまさに地獄のような苦しみだそうです。

そんな辛い状況にある人に、なんと言えばいいんでしょうね?悩みませんか?悩みますよね?悩むんですよ。絶対。

特にわたしが悩んでいたのは「がんばって」と言うかどうか。

ちなみに、ご両親が癌になった経験があって、他にも重い病気でご友人を亡くされた方がいます。その方は、同僚が手術前の抗がん剤治療中バンバン「がんばって」と連発するわけですよ。

「治ると信じてがんばって!」「治療辛いけど、がんばりましょう!」みたいな。わたしには、この「がんばって」がどうも受け入れガタイ…。

わたし自身が病気の時に「がんばって」と言われて少し拒否反応があったことが「がんばって」が言えない大きな理由。相手に悪気がないのは分かっているから、拒否反応と言ってもほんの少しで、言われたとしても問題ないっちゃ問題ないのですが、のどに魚の小骨が引っかかったような違和感がありました。

 

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とはいえ、やっぱり日本国内で励ましワード全国大会があったとしたら圧倒的ナンバー1は「がんばって」じゃないですか。同僚が「副作用で食事ができなくて辛い」と言ったら「がんばって」と返してしまう方がスピーディ。

いつもそう考えながら「がんばって」は言えなくて「退院したら高級牛肉食べましょう。」とか、「次に会ったらめちゃくちゃ話題が尽きなさそうですよね」とか答えていました。

こんなわたしの”『がんばって』と言っていいのか論争”に、この度やっと終止符を打つことができました。終止符を打ってくれたのは「なんで僕に聞くんだろう。(著:幡野広志)」という一冊の本。(記事の最後にリンクがあります)

癌患者の著者が様々な人生相談に答えていて、「ガンになった父になんて声をかけたらいかわからない」という相談への書き出しはがこうでした。

ガン患者さんが健康なかたからいわれる言葉で一番多いのって「がんばれ」です。そしてこの「がんばれ」に苦しめられます。なぜならこれ以上、がんばれないところまでガンばっているんです、ガン患者だけに。

ー「なんで僕に聞くんだろう。(著:幡野広志)」
本文「ガン患者になんと声をかければいいか?」より引用ー

やっぱりそうか。が、読んだ時の正直な感想。

そして、この本を読んだ後の同僚とのLINEのやり取りで「がんばって」を言わなかったのは間違っていないと確信しました。今までで一番の辛い副作用が続いていると言っている同僚からの一言。

僕にいま必要なのは希望です。

焼肉食べるの楽しみにしてます!

この記事を読んでくださっている方は「がんばって」に違和感を持っている人のはず。その「がんばって」違和感は間違ってないです。でも、どう声を掛けたらいいのかは自分で考えるしかなくて「なんで僕に聞くんだろう。」を読んでみてもらえればと思います。(色々な人生相談があって面白い本です)

そして、わたしは同僚にこれからも「高級焼肉」と言い続けます。

 

 

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書籍情報

「なんで僕に聞くんだろう。」は、様々な人生相談に対して、著者が正直に答えを返してくれる本です。悩んでいる人の悩みを否定せず、背中を押してくれたかと思えば、グサッと引き戻してくれたり。

幡野さんが相談者をまっすぐに見据えて回答してくれている、そんな印象の本でした。

「家庭のある人の子どもを産みたい」「親の期待とは違う道を歩きたい」「いじめを苦に死にたがる娘の力になりたい」「ガンになった父になんて声をかけたらいかわからない」「自殺したい」「虐待してしまう」「末期がんになった」「お金を使うことに罪悪感がある」「どうして勉強しないといけないの」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校になった」「毒親に育てられた」「人から妬まれる」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」「兄を殺した犯人を、今でも許せない」……
なぜ彼らは、誰にも相談できない悩みを、余命数年の写真家に打ち明けるのか?
人生相談を通して「幡野さん」から届く言葉は、今を生きるすべての人に刺さる”いのちのメッセージ”だ。

ー出版社紹介文より引用ー

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時間がある方は是非読んでみてください。

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