「imaginary happy」はハッピーエンドばかりのショートストーリー集。読んでほっこりなれるブログです。

バッグとカラビナ

駅で見かけた背がめちゃくちゃ高い男性。(190センチ超えてそうなレベル)斜めがけバッグのショルダーの長さ調節に、カラビナを付けていらっしゃいました。
それを見て考えたストーリーです。

思い込みかもしれない

僕は斜めがけできるバックです。色は黒色です。大きいほうです。昨日、ヤナギさんに買われました。

ヤナギさんは背がとても高いです。周りの人と比べると、頭2つ分くらい高いです。バック売り場のヤナギさんは、誰よりも背が高くてかっこよかったです。そんなヤナギさんが僕を選んでくれた時はドキドキしました。

でも、背の高いヤナギさんには、僕のショルダーの長さでは足りません。僕の収納部分が上にきすぎてしまいます。

だから、僕を買って家に帰るとすぐ、ヤナギさんはショルダーを一度外して、いったん金具で継ぎ足してから、僕とくっ付けました。僕は僕のままでは、ヤナギさんに満足してもらえないことが申し訳なくなりました。

僕がヤナギさんのところに来て1週間経ちました。はじめての雨です。いつものように、ヤナギさんは僕を連れて出かけます。

雨はヤナギさんの仕事が終わる頃にやみました。もう傘をさす必要はありません。僕も濡れなくて済みます。

仕事場を出るとき、ヤナギさんは傘を手に持たず、傘を僕にくっつけた金具にひょいと引っ掛けました。それに気づいた会社の女の人が声をかけました。

「あら、その使い方便利ですね!」

「ええ、便利ですよ。」

「柳さん背が高いから、長さ調節も兼ねてる感じ?」

「そうなんです。どのバックも長さが足りなくて。背が高すぎるのも色々あるんですよ。でも、雨が止んだ後に傘を持つのがきらいだから、このやり方を発見した時は、我ながら頭いいって思いました。笑」

「バックが黒くてカラビナが赤で、オシャレな感じしますもんね。あ、いけない。私コピーとりにいくところでした。」

「おつかれさまです。」

女の人は会社の中に戻り、ヤナギさんは駅に向かいはじめました。そうだったんだ。僕がダメだからじゃなかったんだ───。

そうか、この金具はカラビナって呼ぶのか。

なんで僕は、今までヤナギさんが長さを調節することに申し訳なさを感じていたんだろう。本当にヤナギさんがそれを不満に思っているなら、僕を選んだりしないのに。

そんなことを考えながら、僕はカラビナにごめんねって小さく言った。